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#65 "BUILDING THE PERFECT BEAST" - Don Henley
2006年10月15日 (日) * 編集
Building the Perfect Beastドン・ヘンリーにはソロアルバムが数枚ありますが、この"BUILDING THE PERFECT BEAST"が一番好きです。

元イーグルスのドラマー兼ヴォーカリストである彼に、世間一般が期待するのはやはり "HOTEL CALIFORNIA" の再現でしょう。でもここにはいわゆる西海岸風のアコースティックなロックは微塵もなくて、大々的にシンセサイザーを導入したモダンなアプローチが目立ちます。テクノロジーそのものはとっくに陳腐化しているけれど、このアルバムの持つ衝撃や輝きが色褪せないのは、やっぱり根底にある楽曲や彼のヴォーカルが素晴らしいからだと思う。

多くの人の印象に残っているのは、モノクロームのプロモビデオがMTVでかかりまくった "The Boys of Summer" でしょう。もちろん素晴らしい曲で、過ぎ去った夏の恋の想い出を抱えて聴くと(そしてたいてい、夏の恋の想い出の一つや二つは抱えているものですが)、マイク・キャンベルのギターの素晴らしい音色とともに圧倒的な効果が得られます。しかし個人的にはむしろその他の曲たちに深い思い入れが。

まず目立つのは、拝金主義や享楽主義に徹底的に抗戦しようとする骨太なオヤジぶりを感じさせる楽曲たち。アルバムタイトル曲や "All She Wants To Do Is Dance" できつい皮肉を飛ばした後に、"Sunset Grill" で通り過ぎる人々を眺めつつ、その裏に隠された人生の恥部を暴き出す手法にはぞくぞくします。この曲の複雑で壮大なシンセサイザー&ブラスセクションのアレンジは何十回聴いても「見事」の一言。それぞれ Randy Newman と Jerry Hey のお仕事。猥雑で退廃的な魅力を発散するお店の様子を巧みに表現しています。David Paich のピアノソロもたまりません。だいたい「日没」グリルという名前からして確信犯。そこは間違いなく斜陽のホテル・カリフォルニア Part 2。

そしてやっぱり、酸いも甘いも噛み分けた大人のラヴソングを味わいたいところ。2曲めの "You Can't Make Love" で「独りで何でもやれると思ってるみたいだけれど、恋だけはできないよ」と言い放ち、"You're Not Drinking Enough" では彼女への未練を酒で紛らわす男を痛烈に描写。「彼女が使っていた香水を買うことはできても、それを他の女に振り掛けたところで同じ香りはしない」というフレーズには泣くこと必至です。

ラストの "Land of The Living" はとても穏やかで前向きな楽曲。曰く、「僕はこの世で君といつまでも一緒に生きていたい」。ハーモニーに加わった Patty Smyth の声も瑞々しい1曲で、アルバム終了後はとても晴れ晴れとした気分になれるのです。


【Don Henley @ Amazon.co.jp
I Can't Stand Still
Building the Perfect Beast
The End of the Innocence
Actual Miles: Henley's Greatest Hits
Inside Job
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