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『トニー滝谷』
2006年10月04日 (水) * 編集
トニー滝谷 プレミアム・エディション海外の映画館で『トニー滝谷』を観るというのは、一風変わった不思議な体験だった。

村上春樹の原作は先に読んでいるし(短編集『レキシントンの幽霊』に収録)、別の映画を観た際に流れていた予告編にも大いに興味を惹かれてはいたが、こうして実際にスクリーンで観てみると、若干の違和感も覚えずにはいられない。宮沢りえ(二役)の美しさはよく捉えられていると思うし、基本的には原作に忠実な映画化なのだが、だからこそ逆に物足りないものもある。

監督の本作品への過剰な思い入れがこんなに強く伝わってくるようでは厳しい点をつけざるを得まい。いったん入り込むことは重要だが、最終的にはそこから身を引いて、適切な距離をとりつつ映像化しなくてはならない。原作が比較的軽いタッチの文章でありながら、長く読み手の心に影を落とし続ける理由について、改めて考え直す機会を与えてくれたことには感謝したいけれど。
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