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by TCm (11/15)
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2005年08月25日 (木) * 編集
先に結論を言えば、株式投資に関するテクニックを解説した本の多くは読む価値がありません。その理由は、ちょっと考えてみればすぐに分かるはずです。まず、本当に儲かるテクニックなるものがあると仮定して、それを簡単に他人に教えようとする人がいるでしょうか? 普通教えないと思いますね。また、仮にそのテクニックが本当に有効であるとして、それはいつまでも有効でしょうか? 知れ渡った途端に陳腐化し、後からその手法を試みても誰かに裏をかかれてカモられるだけではないでしょうか? てなわけで、いわゆるテクニカル派と呼ばれる、たとえば株価チャートから未来の値動きを予想するタイプの書籍には近づくべきではないと考えています。もっとも、エンターテインメントとしては結構面白いんですけどね。例えばここに挙げた『「株」で3000万円儲けた私の方法』などは、ここ1年ほどかなり話題になった本で、著者の山本有香さんはカリスマ主婦トレーダーと呼ばれてあちこちのマスコミで引っ張りだこになっています。 彼女の投資手法は結構独特で、損切りの早さなど見習うべき点もあるのですが、全般的にはあまりにもファンダメンタルズを無視した危険なスタイルだと思われます。少なくともずぶの素人がほいほい真似をすべきものではありません。思うに、彼女は今やトレードよりも取材収入や原稿収入が莫大な額になっており、そういう意味でリッチな主婦になっているのではないかな? それはそれで成功者と言えますが、彼女に流れ込むお金を僕らが投じなくてはならない理由はないわけで、そこのところはきちっと線を引いていいんじゃないでしょうか。 ちょっとタイプは違いますが、若手美人トレーダーとして人気のある若林史江さんの『株が好き♪』なども同様です。これなどは投資本というより単なるエッセイというべきで、これを読んだからといって表紙にあるように「たった1銘柄の売買でも1,000万円儲け」ることができるようになるとは思えません。まあ、彼女のルックスが好きだ、アイドルに貢ぐのと同じだろという人もいるかもしれませんが…さて、最近の株式投資本の世界でちょっとしたブームなのがいわゆる個人のバリュー投資家による書籍です。多くの著者はホームページやブログを持っており、その中のコンテンツをまとめる形で出版されています。僕自身も基本的にはバリュー投資のスタイルを好んでいるせいかもしれませんが、これらの本の中にはなかなかいいものもあるように思われます。 例えば、謎のトレーダー「しん」さんによる『株バリュー投資法−3年間で20倍!!』や、角山智さんによる『超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術―たった週1時間の分析で年利15%を目指す!』など。後者はタイトルでちょっと損をしているような気がしますし、前者も「3年間で20倍!」というコピーがマイナスイメージですが、いずれも基本に忠実なバリュー投資スタイルを説くもので、初心者が大火傷しないためにはこういう本でファンダメンタルズを見る練習を積むべきではないかと思います。逆に最近の失敗例を。 ![]() 先日沖縄に行ったときに帰りの空港でどうしても我慢できず買ってしまったのが『現役大学教授がこっそりおしえる 株式投資「必勝ゼミ」』でした。これも基本的にはバリュー投資系なのですが、著者とちょっと趣味が合わなかったかな。彼は現在も青山学院大学で経営学を教えている人らしく、フェラーリを乗り回す趣味があるようですね。大学での講義をテープ起こししたような、やや冗長かつ過剰に親しみやすい口語体で貫かれており、めちゃくちゃ読みやすい一方、内容の深みはそれほどでもありません。高校生の頃にZ会だか河合塾だかが出していた「実況中継!○○講義」シリーズみたいな参考書を思い出しちゃいました。 彼の主張はこれまたシンプルで、 を満たす銘柄を、 という戦略に基づいて買うだけで驚異的な利益率を上げられるというものです。 この種の「投資手法」的なものには、最初に書いたとおり完全に信じられるものなどほとんどありませんから、これを信じて推薦銘柄情報を教えてくれるセミナーにお金を払ったりする行為は、ある時点から宗教に近いものがあるんじゃないかと考えています。もちろん誰が何を信じるかなんて全く自由で、全てが自己責任という点で平等なのが個人投資家の気楽なところでもあるわけですけれど。 個人的には、この本、もうブックオフでお別れしました。 最後に細かい手法というよりは、株式投資の考え方そのものについてかなり示唆に富むアプローチを示してくれた本を紹介しておきましょう。山口揚平さんによる7月に出たばかりの『なぜか日本人が知らなかった新しい株の本』がそれです。タイトルがハッタリぽいので敬遠しちゃうかもしれませんが、中身はかなりまともです。どうして宝くじはダメで株式投資をすべきなのかというところから分かりやすく説き起こし、メインとなる企業価値分析の手法について解説した後に、行動ファイナンスにも触れながら最後に個人投資家に役立つ7つの習慣をまとめています。あちこちに出てくるフレーズやコラムがいちいち示唆的で、ちょっと株をやってみてるんだけどなかなか儲からない、という人が次のステージに突入するために何が必要なのかをうまく表現した本だと思います。 企業価値分析のあり方については異論もあるでしょうし、例によってここで紹介された手法ですぐに利益が上げられるわけもないのですが、立ち止まって「私は今何をすべきなのか?」を考え直すために読んでみるのもいいんじゃないでしょうか。
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