★WINTER WONDERLAND★
洋楽、映画、読書、国際分散投資、そして心穏やかなシンプルライフ。 (新規の記事追加は http://ww.blog2.fc2.com/ で行っています)
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ズンイチ先生の生き方論
2005年03月25日 (金) * 編集
失楽園〈上〉渡辺 淳一と言えば『失楽園』や現在日経新聞連載中の『愛の流刑地』(通称『愛ルケ』)で知られ、「日本の極限エロオヤジ」の異名をとるベストセラー小説家です。1933年北海道生まれ、僕の生まれた1970年には既に直木賞も受賞している彼ですが、『愛ルケ』ではエロス全開の本領発揮モードが続いています。

「そろそろ、入ってもいいかな」
「もちろん、わたしも待ってたの」
「ほうら、こんなになってる」
「すごおい、可愛い」

(中略)

奥深く入ってはじめて冬香が「あっ・・・」と声を出し、そしてつぶやく。
「つらぬかれてるう・・・」

…はっ、いきなり謎の会話を引用してしまいましたが、これが今朝の朝刊に掲載されている台詞なのですね。恐るべし日経新聞。一面では「ソフトバンク系が筆頭株主 フジ、新たな防衛策」なんて記事が踊る裏で、文化面ではこんなことになっている。

ご存知50代の小説家・菊治と30代の人妻・冬香を主人公とする不倫小説であるわけですが、今週もなかなか多彩な展開を見せてくれました。中でも特筆すべきだったのは冬香とのメールのやりとりでしょう。そもそも菊治がケータイでメールを打ちまくっている姿自体が滑稽すぎますけど。

「君のご主人はどんな人でも、僕は君を愛している。誰よりも冬香が好き」
 そのあとに、ハートマークを三つ付けて送ると、すぐ冬香から返事がくる。

ハートマークですよ!(笑) それも三つも。笑かすにもほどがある。ちなみにこれに対する冬香の返事にはハートマークと笑顔がついていたりするんですがそれは置いといて。

もうひとつの特筆すべき展開は3月22日付け朝刊に訪れています。菊治は冬香に捧げるべく新たな小説を書こうとしているわけですが、その内容が初めて明らかにされたのでした。何でも、菊治が30代後半の頃、妻と他の女性と、さらにもう1人、都合3人の女性との間で三つ巴の愛が続いたことがあるとかで、その男女関係を通じて「猛り狂った、男の業のようなもの」を書きたいというのでした。

そうです。ズンイチ先生もすぐにフォローしていますが、皆さんが思ったとおり、

はっきりいって、この主人公は菊治そのものではないが、菊治の分身であることは間違いない。

のであります。要するにアレだ、「小説内小説」の仕掛けだ。スティーヴン・キングで言えば『ミザリー』において、主人公の小説家ポール・シェルダンが囚われの身になり、強要されつつ小説を書いていくというアレですよ。『愛ルケ』からさらに少し長めに引用するならば、

 しかし、男女の小説を書く以上、体験してきたことを書くのが、もっとも確実だし、リアリティがある。これまで、さまざまな人生を生き抜いてきた、大人の読者を納得させるには、このリアリティが不可欠である。
 そのためには、まず自分から体験したことを振り返り、正直に泥を吐かねばならない。
 この自分という男の中に潜んでいる、好色で、身勝手で、そのくせ脆くて、無と知りつつ突き進んでいく、雄の宿命を書きたい。

というのです。そこで昨日エントリーした原 鏤瓩竜事につながるわけですが(2日がかりでネタ仕込んだよ!)、小説家は自分が最も読みたいものを書こうとする。その結果、主人公は多かれ少なかれ本人に似た性格を帯びざるを得ない。自分の理想とするライフスタイルを、主人公にも無意識のうちに送らせる、それが小説家というもの。そうでなくてはズンイチ先生言うところの「リアリティ」が欠如してしまうからです。

そこで僕らはハタと気づく。

そもそもズンイチ先生自身が菊治だったのではなかったか。渡辺淳一自身に、読者の女性との錯綜した恋愛経験がなければそもそも『愛ルケ』は書けないはず。つまり「渡辺淳一 ≒ 菊治」という、言わば自己モデルによる小説化がなされているわけです。

ということは何だ? つまり、菊治がこれから書こうとしている自己モデルによる小説ってえのは「渡辺淳一 ≒ 菊治 ≒ 新主人公」になるのか? ということはもう一段外枠が加わった「小説内小説内小説」ってことなのか?

そこで僕らはまんまとズンイチ先生にハメられたことに気づくのです(いやハメるのはそれじゃなくて)。菊治がこれからちょっとでも気を変えて「そうだ、この小説の中の主人公に小説を書かせてみよう」と思ったりしたら! まさに合わせ鏡に映る無限の映像の如く、どこまでも終わることのない「小説内小説」地獄が示現してしまうという恐怖。

まあそれは冗談としても、ズンイチ先生がどこまでこの連載の終末をイメージできているのかは分かりませんが、トンデモ系の結末に持ち込むことも可能な種蒔きが完了したことだけは確かです。

(…っていうか既に毎日トンデモ系だけどな。)

(ついでに毎日別の意味で菊治が種蒔いてるけどな(笑))

(それにしても菊治が書くという小説のタイトルが『虚無と熱情』ってのはどうなのよ。ズンイチ先生ここ一番での手抜きぶりが鮮やかすぎだよ)
Comment
・「虚無と熱情」って・・・
ご無沙汰してます。昨年6月、なおさんたちとの中華ランチでご一緒させてもらったよしてるです。実は「冬ブログ」愛読者です。

いやあ、愛ルケ。毎朝楽しませて(笑わせて)もらっています。あの独特の言い回しにもすっかりなじんでしまい、別の本を読んでいても、「・・・ようである」「・・・ということか」というフレーズを目にするたびに愛ルケを連想してしまう今日この頃です。

Winterさんご指摘の内容、私も同じことを考えながら読んでいました。そうするとひょっとして先生、テク自慢?なんて下世話な憶測ももってしまってますが。

それにしても、「虚無と熱情」はないですよね、もう。あ、実はこれもネタのひとつということか。

今後も目が離せません。


P.S.

「冬ブログ」をマイブログの「はてなアンテナ」に登録させてもらってもいいですか?
http://d.hatena.ne.jp/yositeru/
2005/03/27(日) 16:14:06 * URL * よしてる #1qJCdU76[編集]
・どこからでもツッコんでこい、ということか。
いや、ズンイチ先生、突っ込むのはソレじゃなくて…

★よしてるさん
ご無沙汰してます!
【ほぼ冬】を愛読してくださってるなんて、誠に恐縮の至りでございます。

>>別の本を読んでいても、「・・・ようである」「・・・ということか」というフレーズを目にするたびに愛ルケを連想してしまう今日この頃です。

爆笑! でもそうなんですよねー。
愛ルケはとにかく菊治の脳内妄想が激しすぎて、しかもそれを世の男性一般の好みであるかのごとく、大胆に敷衍しちゃうところがたまりません。

「そもそも男というものは…」って、それ貴方(=菊治=渡辺先生)だけですから! 残念!みたいなネタが多すぎて。

まあほとんど狙って書いているとしか思えないわけですが、今週も見事に一番エロいシーンが土日にかかって、明日からは電車内で新聞を広げても恥ずかしくない挿絵になることと思われます。

えー何が何だか分からなくなってきましたが、はてなアンテナに登録していただけるならありがたいことでございます。どうぞよろしくお願いします!


(…などと書きながら、無言のうちに読者の皆さんに【ほぼ冬】のブックマーク登録を促しているようである。)
2005/03/27(日) 19:06:29 * URL * winter #nEx7PFYA[編集]
・先生の嗜好は世の男性の真理、ということか。
アンテナ登録へのご快諾、ありがとうございます!早速登録させていただきました。悦びが全身をつらぬいたようである・・・ではなくて、うれしく思います。
こちらこそどうぞよろしくお願いします。

そうそう、あの、先生の嗜好を世の男性全員にとっての真理みたいに言い切るところ、まさにつっこみポイントですよね。おかげで最近の毎朝の楽しみは、「今日はいくつつっこめるかな」とわくわくしながら日経をのぞき込むことになってしまいました。

先生の放つ妖しい香りなくしては、朝が迎えられなくなった、ということか。
2005/03/29(火) 07:19:51 * URL * よしてる #1qJCdU76[編集]
・愛ルケ
トラックバックありがとうございました。

返事遅くなって申し訳ありませんでしたが、愛ルケ本編同様に即ブックマーク→
定期購読させていただこうと思います。 

以上
2005/04/01(金) 12:02:34 * URL * 流刑者 #R7Q0cW2.[編集]
・流刑者とは…
★流刑者さん
こりゃまた「愛の流刑地」に相応しいハンドルのお方ですね!
こちらこそコメントありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。
2005/04/04(月) 22:35:03 * URL * winter #nEx7PFYA[編集]
>読者の女性との錯綜した恋愛経験がなけ  ればそもそも『愛ルケ』は書けないはず。

 物好きな読者もいるんですねー。
 ずっと、イメージ戦略が激しい作家で、現実のファンはどれくらいいるのだろうと疑問だったんですヨ。その重しが重すぎたから、「愛ルケ」でおちょくりが大暴発したんだと思います。ま、かなり酷いデキであるのも確かですが(笑) どうか男性読者の人たちは、女性から失笑を買っていることに気がついてほしいですね。まちがっても、渡辺ネタで女の子を口説かないよーに。成功率はきわめて低いですから! 
2005/07/23(土) 00:02:25 * URL * ビーンズ #LjveDjGg[編集]
・きわめて低いというか、ゼロです(笑)
★ビーンズさん
ていうか、この作者に「現実のファン」なんているんでしょうか?(笑)
自分も含めて、おちょくり系のネタしか見たことがないような...
まさに失笑ものの連載小説ですが、どうやらこのまま1年を迎えそうな気配です。

ちなみに僕自身はもう最近は目に触れることすらなくなっていて、むしろ同じページの「私の履歴書」でシマノ社の話を興味深く読んでます。先日の野村克也さんも結構面白かったなー。
2005/07/24(日) 00:02:20 * URL * winter #nEx7PFYA[編集]
・冬香は往った
こういう死なせ方って、小泉流でないですか。

 業を突き抜けないと、愛も性事も祭事も政治も
 成仏出来ないということをズンイチ先生から
 教えてもらっています。

 きっとズンイチ先生こと渡辺淳一は小泉自民党
 なのだろう。
2005/08/28(日) 15:54:10 * URL * ご隠居 #MfV4B0A2[編集]
・逝っちゃいましたね…
★ご隠居さん
コメントありがとうございました。

政治との関連はよく分からないのですが、菊治はちょっと一線を越えてしまった感じですね。

これから1ヶ月近く、いろいろな思い出の中で煩悶しながら自らも死を選ぶのでしょうか。それが「愛の流刑地」だったのかと。

でもって死後に「虚無と熱情」の出版が決まり、2人のことが大きく報道される…ってなあたりかな、と連載終了にかけての展開が見えた気がします。どうなるかな?
2005/08/30(火) 22:30:10 * URL * winter #nEx7PFYA[編集]
・「逝く」という「往かせ」かた
儂もこの歳まで生きると、「菊治的」になりかけることも、数少ない
が経験してます。

いまは、年金相応族です(年金一元化で廃すると言ってくれている職
域加給と老齢基礎年金を貰いながら)まだ現役(あちらはお釈迦)で
きてますが、しかし、この愛ルケには失楽園仕損なった余韻を持て余
した身でコーフンしてきました。

ふと、いま闌のセイジの選挙戦にコーフンし止まぬ世情が重なって映
ってしまう。これ、「往こう」として我が邦(くに)の身体は「逝く」
んでないかな、って。
2005/08/31(水) 00:25:51 * URL * ご隠居 #MfV4B0A2[編集]
・総「冬香」化さた小泉イズム
しかし、この自民の圧勝で、国の累積する借金(次世代からの)が消えるとは
 とても思えません。

 確かに、従来型の財務省理財局の「財政投融資制度」に代って、公団・公社・
 特殊法人などが「財投債」を発行して資金調達に、単に銀行等からだけでなく、
 郵貯、簡保から調達しているだけではないですか。郵貯などの焦げ付き不良債
 権は累々と山となり、僕らが三途の河原に出ようにも出れない障壁となってい
 るではないですか。「小泉イズム」に我が国が「逝かされよう」としています。
 国民の側は「年金・介護・社会保障」を空手形化されていることも知らず「往
 きたい」と「総 愛ルケ」されて「冬香」になっていると気づく時は来るので
 しょうか。

 電子メールを開けば、「迷惑メール」が次々に押し寄せて来てくれるのに、辛
 抱してインターネット時代を送らされている間、奈落が用意されている。その
 ひとつが今回の「国民総白痴(愛ルケ)化」だったと思います。

 やっぱし「カクメイしかない」とは、情けない限りです。
2005/09/13(火) 07:46:51 * URL * ご隠居 #MfV4B0A2[編集]
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くぁああああああ!笑ったこりゃいい、菊治的ってのもイイ。「愛の流刑地」でネット検索してこんなに楽しいとは知らなんだ。すげー、楽しい。何が楽しいって、見ている読者が言いたい放題なのが楽しい。日本の限界エロオヤジ小説を楽しみにしている一般ピーポーってどんな代
2005/09/08(木) 09:14:07 * 腹を割って話したいね。
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