★WINTER WONDERLAND★
洋楽、映画、読書、国際分散投資、そして心穏やかなシンプルライフ。 (新規の記事追加は http://ww.blog2.fc2.com/ で行っています)
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ブリちゃん妊婦ヌード
2006年09月01日 (金) * 編集
HARPER'S BAZZAAR (ハーパース バザー) 日本版 2006年 10月号 [雑誌]話題になりましたね。『ハーパース・バザー10月号』のブリトニー・スピアーズ表紙。

原書で7月頃に目にして、いい表情だなあと思ったものです。確かに妊婦ヌードなんだけど、この写真はいやらしいとかそういうレベルを遥かに超えている。

妻のお腹も少しずつ大きくなっていますが、何だか神秘的な気がします。

最近は中でかなり元気に動いていて、「そうか、映画『エイリアン』の主題ってこういうことだったのか…」と思ったり思わなかったり。
最近読んだ投資本(2)
2006年08月09日 (水) * 編集
貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント―ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵『貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント −ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵 』(北村 慶・著) ★★★☆
丁寧に書かれた真っ当な投資入門書。アセット・アロケーションの概念をベースに、ゆっくりと確実に資産を築くための投資方法について説明している。

個人的に新しい情報は、世界の年金資金運用基金の資産アロケーション表くらいだったが(とはいえこれは非常に参考になる)、語り口が丁寧で初心者に勧められる良書。個別の金融商品に関する情報は決して十分ではないので、『内藤忍の資産設計塾』あたりで補足しておく必要があるだろう。


みんなの投資 投資信託でゆっくり確実に資産をつくろう!『みんなの投資 投資信託でゆっくり確実に資産をつくろう!』(藤田 郁雄・著) ★★★
2ch「銀座人」氏のスレには相当お世話になり、リアルタイムでいろいろ勉強させていただいたのが懐かしい。日本で今購入できる投資信託で資産運用するならば、という前提で書かれたほぼ完全な初心者向け入門書。

そもそも「投資信託って何?」「ネット証券の口座開設ってどうやるの?」というレベルの読者を想定しているので、ある程度勉強して投資を開始している人には物足りないし、紙面の制約のためか中途半端な印象も受ける。

とはいえ現在販売されている投信に個別の解説を加えつつ、具体的な商品(実名)とそのアロケーション比率を推奨してくれる書籍はほとんどないので、何から読んでいいか分からないという人は一読してもいいだろう。


お金をふやす本当の常識―シンプルで正しい30のルール『お金を増やす本当の常識 −シンプルで正しい36のルール』(山崎 元・著) ★★★★★
元ファンドマネージャーの山崎氏は数少ない「本音で語る」経済ライターで、ここに書かれていることも普通の金融関係者ならまず口にしないことばかり。無防備なまま金融機関と取り引きすることはほぼ自殺行為なので、これは投資以前の必読書といえる。

「長期投資でもリスクは減らない」「生命保険は不要」「ドルコスト平均法は得でも損でもない」「外貨投資は投機」など、金融業者サイドにすれば破り捨てたくなるような内容ばかりを、クールにドライに淡々と解説する名著。多くの考え方は楽天証券サイトの連載コラム「ホンネの投資教室」でも述べられているのでご参考まで。


臆病者のための株入門『臆病者のための株入門』(橘 玲・著) ★★★★★
2006年に出た本の中では出色の1冊。元々トリッキーな書き手だが、ライヴドア事件や本人の取引体験なども織り交ぜつつ、最終的に「万人にとって経済学的に正しい投資方法」に帰着させるロジックが面白い。

しかもその結論が「世界の株式市場の縮小コピーに投資せよ」というもので、日本株式15%+外国株式85%(うち米国が約半分)で持つべしという強引さ。だがスイスのプライベートバンク以上の実績を伴っているので単純に笑い飛ばすわけにもいかない。笑えるのはあとがきで著者自身がこの「正しい投資方法」を実践しているわけではないと宣言しているところだろう。

新書であっという間に読める上に、結構な知的刺激が得られるという点で相当のオススメ。
最近読んだ投資本(1)
2006年08月09日 (水) * 編集
投資関連書籍に関するレビューもたまってしまいました。一言レビューで在庫を一掃処分します。

内藤忍の資産設計塾 実践編 ―自分も資産も成長する新・資産三分法『内藤忍の資産設計塾 実践編 ―自分も資産も成長する新・資産三分法』(内藤 忍・著) ★★★
基本的な金融商品に関する知識とアセット・アロケーションの概念を身につけるために最適な書籍。微妙にマネックス証券の商品(必ずしも有利ではない)を勧める宣伝本的な側面もあるので、そこは割り引いて読む必要がある。

「投資リターンの80%はアセット・アロケーションで決まる」というフレーズもよく引用されている。バックミラーで見れば正しい分析だとしても、事前に最適なアロケーションを構築できるかは全然別の話。あくまで「業者サイド」から書かれた本であることを忘れてはいけない。

「人生のミッションを紙に書き出そう」的な自己啓発本カラーを帯びている点が自分にとっては生理的にきついが、基本書としての完成度は極めて高い。


のんびり!カンタン!!幸せな長期投資『のんびり!かんたん!! 幸せな長期投資』(澤上 篤人/横田 濱夫・著) ★★★
「さわかみファンド」には賛否両論あると思うが、澤上氏のスタンスには頷かされる部分も多々ある。希望としては、息子に世襲させずに本人が長生きして継続運用してほしいのと、あとは信託報酬をもう少し下げてくれるといいんだけどな。

この本に関しては、対談形式でサクサク読める点と、澤上氏が米国株で大きく当てた過去の運用実績について語る部分が貴重かな。


株式投資の未来〜永続する会社が本当の利益をもたらす『株式投資の未来 〜永続する会社が本当の利益をもたらす』(ジェレミー・シーゲル・著) ★★★☆
投資家に本当の利益をもたらすのは、企業の急成長ではなく永続である…という前半は確かにそうなんだが、「永続」する企業を事前に選び出すこと自体が困難。とはいえ「成長の罠」コンセプトは個別銘柄投資だけでなく、BRICsなどへの分散時にも警句として役に立つだろう。

中国・インドなど新興諸国の台頭により先進国の少子高齢化など恐るるに足らずと喝破する後半は確かに「明るい未来」的で、第4部・第5部の国際ポートフォリオ戦略などは特に参考になる。


フリーランチ投資家になろう!『お金が勝手に働いてくれる フリーランチ投資家になろう!』(岡崎 良介・著) ★★★★☆
タイトルで損してるかなという気もするが、個人的には非常に好きな1冊。投資の基本は徹底的な「リスク管理」であると述べた上で、分散投資によりリターンを維持したままリスクだけを減らす「フリーランチ」を最大限に利用すべしと説く。

積み上げた過去のデータから「外国株式(or 日本株式)30%+外国債券70%」というアロケーションを導くあたりは好き嫌いが分かれそうだが、大まかな相場観や投資スタンスにはかなり共感できる。


これから10年 長期投資のロードマップ『これから10年 長期投資のロードマップ』(岡崎 良介・著) ★★★★
同じ著者による続編的な本だが、思いきり相場観丸出しで今後10年間の株価・為替・金利トレンドを予想してしまう前半部には引いてしまうかもしれない。読み進めれば違和感は解消するし、この予想は一例にすぎないことが分かってくるので、その前に挫折しないことが大切。

要するに株や為替や金利に関する自分なりのイメージをどれだけ持てるかが、長く市場に留まる投資家になれるかどうかを左右するということ。その意味で「長期投資家としていかに生きるか」を説く後半部分の方が読み物としては参考になる。
小松左京ブーム
2006年07月31日 (月) * 編集
日本沈没 上    小学館文庫 こ 11-1小松左京の近辺が騒がしくなってきました。

日経新聞に「私の履歴書」が連載され、日本SF界の草創期を支えた巨人としての存在を見せつける一方で、1973年の大ベストセラー(400万部!)『日本沈没』が草くんたちの出演で再映画化されてこの夏大ヒット中。さらには33年ぶりの続編『日本沈没 第二部』まで出版に漕ぎつけ、古いファンたちを喜ばせています。

先日TVで、小松が『日本沈没』について「高度経済成長に浮かれる日本に警鐘を鳴らすつもりだった」と語っているのを見ました。戦争を体験した世代でもあり、彼は「国家」のあり方を真面目に議論するタイプです。荒唐無稽な設定が許されるSFという表現方法を駆使して、日本の滅亡や国家の喪失といったテーマを繰り返し描いた巨匠のひとつの到達点が、『日本沈没 第二部』なのでしょう。

日本沈没 第二部オリジナル版のラストに「第一部 完」とあるように、そもそも第二部を書くことが想定されていた作品であったようですが、阪神・淡路大震災で被災した小松はすっかり気力を失ってしまい、何も書けなくなってしまったのだそうです。そんな彼をフォローしたのが若手の谷 甲州。さすがに小松の大ファンだけあって、大先輩のアイディアを二人三脚で書き上げた力技が話題を呼んでいるようです。

日本列島が沈没し、国土を失って世界中に散り散りになった日本民族がどう生きるべきかを描くこの第二部では、混迷する諸国の利害調整役として貴重な存在になっているらしい。ちょっと聞くとユダヤ民族のような印象も受けますが、小松の「日本人は国土に縛られない生き方を模索すべきなのだ」という宣言は、資源も世界共通言語も持たず、海に囲まれて長年閉じこもってきた日本人の、世界への向き合い方の一例に違いありません。

SF魂新潮新書からは半生記とも言うべき『SF魂』までリリースされ、2006年は出版界におけるちょっとした小松左京ブームが起きているようですね。もっともこちらは「小松左京・著」とあるものの、『バカの壁』で有名になった「語り下ろし」本のようです。

それでも京大時代から日本のSF黎明期、大阪万博への参画と尽力など、高度成長期を駆け抜ける時代の熱気が感じられる話題作なのは確かで、ちょっとした小松データベースとして自分も手元に置いておきたいなと思ったりしているところです。
『「黄金の羽根」を手に入れる自由と奴隷の人生設計』(橘 玲・著)
2006年07月23日 (日) * 編集
「黄金の羽根」を手に入れる自由と奴隷の人生設計先週から今週にかけて、朝日新聞の一面に「分裂にっぽん 新しき富者」という記事が連載されました。デイトレーダーやプライベートバンクの話など、既に何度も目にした記事もありましたが、第1回の「税負担嫌い『永遠の旅』」については「いよいよこれが新聞一面に載る時代になったのか…」とちょっと驚きました。

「永遠の旅人」(Perpetual Traveler)とは、自国の高額な課税を逃れるために、居住国を転々とする手法のことで、欧州の資産家が考案したそうです。例えば日本人であっても、年間の日本滞在期間が一定日数を下回れば「非居住者」扱いになって課税額が少なくなります。そこで、日数を計算しながらいくつかの国を転々とし、どこの国でも税金の減免を受けながら暮らす人々を「永遠の旅人」というわけです。

資産が少ないと移動コストの方が高くつく可能性がありますが、億単位以上の資産家にとっては現実味のある話でしょう。記事によれば実際にNYやハワイ、日本などに居所を構えて渡り歩きながら、どこにも本格的に税金を納めることなく資産運用する富者が続々生まれていることは確かなようです。これを「税金の合法的回避法」と捉えるか、脱税まがいの生き方と捉えるかは多少議論のあるところでしょう。

私が橘 玲の『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 ― 知的人生設計入門』を読んで「永遠の旅人」という生き方について知ったのはもう5年くらい前のことです。(今では『「黄金の羽根」を手に入れる自由と奴隷の人生設計』というタイトルで文庫版が出ています。)

「日本の制度は大きく歪み、そこから『黄金の天使の羽根』と呼ばれる恩恵が生じている。少し工夫すれば恩恵を手に入れ、余裕ある生活ができる。今後の知識社会では、この『羽根』の存在に人より早く気づくことが経済的成功への第一歩」という主張には、一部納得しつつも、すっきりしない部分もありました。

確かに、国家は取りやすいところから取ります。サラリーマンにとって税金は信じられないほど大きな搾取でしょう。しかし制度が大きく歪んでいるのなら、そしてそのことに気づいているのなら、最初にすべきことはその歪みにつけこんで巨利を得ることではなく、その歪みを正すための努力をすることであるはずです。ゲームのルールはできるだけ公正であるべきだし、少なくとも、公正に近づけようと常に努力している人々がいることを知ってもらうことには意味がある。

そこをすっ飛ばして、日本で真面目にコツコツ働いても馬鹿を見るだけだから、ペーパー会社を作ったり海外を渡り歩いたりして、できるだけ税金逃れして生きた者勝ち的なスタンスが透けて見えること、それがフェアプレイ感覚と乖離していることが違和感の根源にあるわけですが、それを除けば一定の知的刺激は得られる本です。

橘氏の持ち味でもある皮肉でニヒルな語り口は読者を選びますが、世の中の「常識」とされている事柄を基本的に疑ってかかるべしというスタンスは、カモられないためには必要なものだと思います。誰かを騙してお金持ちになっても心の平安は得られませんが、誰かに騙されてお金を失うような事態は論外だからです。

もっとも、お金の量と人生の幸福度との間には直接的な関連はほとんどない、ということを理解しておくのはこの手の本を読むための大前提なので、どうかお忘れなく。
人生の燃料
2006年07月22日 (土) * 編集
ある種の本は、ある特定の時期に読むことによって真価を発揮するようです。

若い時代の読書体験は、人生の燃料の主補給源である。その燃料の種類と積み込みいかんによって、人生の航続距離と方向が定まる。

これは、作家・森村誠一氏が、彼にとっての大切な本である『ジャン・クリストフ』について述べた言葉です。「特に人生の仕込み期間の学生時代に読んでおくと、人生航路を支える極めてオクタン価の高い燃料になるようである」とも言っています。

自分も幼少時から学生時代にかけて、子供向けの世界名作全集やSF、スティーヴン・キングの諸作品などを読み漁り、大きな影響を受けてきたように思います。今でも振り返って手に取ることはありますが、あの頃と同じ鮮烈な読書体験ができるわけではありません。もちろん、当時は分からなかったことが、その後の人生体験を踏まえて新たな意味を持って立ち上がることはありますが、初読時の印象や解釈が、生きていく上で大きな影響を与えているのは確かでしょう。

さて、森村氏も述べているように、読書と一口にいっても、

一、自己形成のための教養書
二、娯楽のための本
三、職業に関する本

の三種類があります。人生第一期の学生時代までに、第一型の教養書で自己形成していくわけですが、その中で終生の書に出会えた人は幸福だと思います。

自分が最近読む本はもっぱらビジネス書や実用書が多くなっていますが、人生第二期の現役時代以降は二型と三型の読書が増えるのは、ある意味当然だと思っています。その時々で、自分にとって必要な本を読んでいくこと、その内容の移り変わりも含めて楽しんでいくことが、人生と付き合っていくコツなんじゃないかな。

音楽や映画との付き合い方も、10代や20代の頃とは変化してきましたが、あくまで自然体で気に入ったものをチョイスしながら、人生の燃料を補給していきたいと思っています。
『金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか』(吉本佳生・著)
2006年07月20日 (木) * 編集
金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか金利上昇局面にあって気になっているのは、新生銀行その他いくつかの銀行が販売している「銀行側が預入期間を延長または短縮する権利を留保した定期預金」です。

基本的にこのような仕組み預金は避けるべきです。一見高い金利をうたっており、良い商品に見えるかもしれませんが、実は市場金利が上がっても下がっても銀行側に有利(つまり買い手に不利)な商品だからです。市場金利が上がれば預入期間を延長されて相対的に低い金利に固定され、市場金利が下がれば早期償還されて高金利を享受できないという、ある種詐欺的な性質を持っています。

最近の金融商品(特に銀行が販売するもの)にはこの手の怪しいものが増えているので気をつける必要があります。どうして銀行がこういう商品を積極的に販売するのかは、少し考えればすぐに分かるはずです。要するに「売り手の得は買い手の損」なのですから。

この手の商品に騙されないようになるために役立つのが、この「金融広告を読め −どれが当たりで、どれがハズレか」です。新書ですし、実際の広告を模した図表も多くてサクサク読むことができます。読み終わる頃には、金融機関から好き放題にむしり取られないだけの金融リテラシーが身につくと思います。

新聞や雑誌で毎日見かける様々な金融広告が、いかに危険な商品ばかりであるか。現実を知ってしまうと落ち込んでしまうかもしれません。そもそも、銀行は我々に利益をもたらすために営業しているわけではなく、自行の利益を第一に追求しているわけですから、実は当然のことです。

自分の資産をしっかり守るために、金融機関との付き合い方を考え直す材料になる良書だと思います。
『三四郎』 (夏目 漱石 著)
2005年09月04日 (日) * 編集
三四郎夏の終わりは読書シーズンの終わりでもあって、同時に秋の読書シーズンの始まりでもあるわけです。そんなわけで30代も半ばになって生まれて初めて読んだ『三四郎』

これまで読んだ本を振り返る限り漱石は好きだし(根が女々しいので『こころ』とか特に)、自分の生い立ちに重なる部分もあるので感情移入できるんじゃないかと思って読んだわけですが、ちょっと違ったらしい。

九州の田舎から東京の大学に出てきて様々な体験をし、特に淡い初恋に揺れる青年のココロを、ある種淡々とした筆致で描く小説であるわけです。舞台となる街や地域にはそれなりに土地勘があるので、結構リアルに風景を思い浮かべることができるのだけれど、どうしても「ちょっと違う」感が拭えなかった。

要するにそれはこの15年間くらいで自分が失ってきた感性なのかもしれないし、もし大学入学当時に手に取っていれば全く違うリアリティを見出せたのかもしれない。まあそんなことを言ってみても始まらないし、この小説の価値が減るわけでもないのですから、いかにも明治の終わりっぽい空気と、初めて(大人の)女性を好きになった頃のあのもどかしさを思い出しながら読めばよいのでしょう。

個人的には、大学の図書館が懐かしくなりました。あそこには確かに一生かかっても読みきれないほどの資料があって、しかもどの本も既に誰かが目を通して勉強した痕跡のようなものがありました。授業が終わってから閉館時間まで、静寂の空間に自分の席を確保して予習復習らしきものをするふりをしつつ夢想した「あの頃の未来」に、僕は本当に立っているんだろうか?
『買い物中毒のひそかな夢と欲望』 (ソフィー・キンセラ著)
2005年08月31日 (水) * 編集
買い物中毒のひそかな夢と欲望主人公レベッカ・ブルームウッドは25歳、金融関係の雑誌社に勤めるジャーナリストです。つまり個人資産の管理及び運用について、なーんて記事を書いているわけ。今自分が一番書きたいテーマなので、なんとも羨ましい…

…しかしちっとも羨ましくないことに、彼女は「買い物中毒」なのです。レベッカの経済観念は限りなくゼロ、素敵な服にアクセサリー、靴に美味しいワインに洒落たベッド用リネン、セクシー下着にスキンケア用品と、彼女にとってはどれも「ぜったい必要」なもの、つまり「買わなくちゃ!」なのですね。すなわちタイトルどおり、『買い物中毒の密かな夢と欲望』が渦巻く世界というわけ。

街を歩けば「SALE」の看板がすぐ目に飛び込み、ちょっとばかり高価なアイテムも30%オフ、40%オフ、50%オフですぐにゲット! どうせ一生ものなんだから大丈夫、とかもう二度と手に入らないから、とか泉の如く湧き出る言い訳を胸に、仕事やプライベートの不調や落ち込みをすべて買い物にぶつけて自分を慰めるのです。

それだけならいいんだけど、待っているのは当然凄まじい借金なわけで。VISAカードの請求書は雪だるま式にふくらみ、家にも職場にも電話がかかりまくり。それでも、やっぱり、素敵なバッグを目にするとどうしても買わずにいられなくなっちゃう。そんなレベッカの悪戦苦闘ぶりを徹底的に爆笑ストーリィに仕立てつつ、いかにして彼女が借金地獄から脱出し、キャリアアップを図り、ついでに白馬の王子様までゲット!しちゃったかを描く、超スピーディなシンデレラ・ストーリィ。

これはかなり面白かったです。なんと言っても舞台はロンドン。ちょっとでも土地勘のある人なら、膨大な地名とお店の名前にニヤリとすることでしょう。さらには「ジグソー」や「ブーツ」「フレンチ・コネクション」「アニエスb.」「デニー&ジョージ」「アレッシー」「クラランス」などなど、服から化粧品から日用品まで、ありとあらゆるブランド名の洪水に押し流されそうになるかもしれません。これが本書にリアルさをもたらしている秘密なのですね。

ブリジット・ジョーンズの日記最後の展開がちょっと甘いのを除けば、はっきり言って『ブリジット・ジョーンズの日記』なんかより面白いかもしれない。

潜在的な買い物中毒の女の子はたくさんいると思うし、そういう子たちにとって「どうやって生活を立て直すか」を考えるヒントもたくさん詰まっています。レベッカ自身もトライするように、ポイントは「支出を減らす」か「収入を増やす」かあるいはその両方なのですが、どっちも急に激しくやれるもんじゃありません(レベッカはそれで失敗する)。少しずつ、少しずつそういう「体質」にしていかなくちゃだめなのです。そして時々は(そう、時々は)買い物を楽しむ。本当に必要なものをじっくり選んだら、少々高くても思い切って買っちゃえばよいのです。

作者自身が元金融ジャーナリストで、レベッカのモデルになっているのは明らかですが、ちなみに彼女はめちゃくちゃお金に堅い女の子らしく、セールの日にお店の前に並んでいたことなんてほとんどないらしい。デビュー2作目の本作で大ブレイクして全英ベストセラートップ10入り、印税でちょっとは「買い物中毒」の仲間入りを果たしたかな?
『投資戦略の発想法』 (木村 剛 著)
2005年08月26日 (金) * 編集
投資戦略の発想法じゃあまともな投資本はないのか?という問いに答えるならば、真っ先にこの本を取り上げるべきでしょう。

講談社から出ていた前の版が永らく手に入りにくい状態になっていたところ、この度アスコムという出版社から新装版で再発された木村剛の『投信戦略の発想法』です。

基本的な内容は以前と同じですが、ホリエモン問題やカネボウ事件など、タイムリーな話題を加えてアップ・トゥ・デートな内容に仕上げています。個人的な感想を言わせてもらえば、新しいコンテンツにはそれほど緊急性が感じられませんし、装丁や字体など、前の版の方が重厚で「本格的な投資入門」という感じが漂っていて好きでしたが、まあ大きな問題ではありません。

とにかくこの種の投資本の中で、これほどまでに禁欲的なスタンスで書かれたものは珍しいと思います。がんがん株をやろう!とか投資信託にトライ!などという本とは対極にあって、むしろ節約の重要性や、日常の仕事を大切にしようといった堅実な姿勢を崩そうとしません。

特に、我々のポートフォリオの中核が「仕事」であって「金融商品」などではないことを強調する内容には眼からうろこが落ちる人も多いのではないでしょうか。株で儲けようなんてのは所詮二流の人、本当の一流の人なら本業だけで悠々自適に暮らせるくらいのお金を稼ぐものだというのです。

もちろんその一方で、いつ発生しないとも限らないインフレーションへの対策を怠らぬよう、株式や外貨への投資についても必要最低限の指針を示してくれています。

まあ詳細は昔書いたエントリーをご参照いただくとして、今回の改訂で残念だったことをひとつ。旧版には巻末に個人投資家が読むべき参考書籍のリストと、それぞれへのコメントが付いていました。これは本当に参考になるもので、自分もその後いろいろな本を読みましたが結局ここに挙げてあったもの以外はほとんど役に立たなかった。それくらい吟味されたリストだったのです。

しかし新版ではあっさり削除され、代わりに木村が自ら編集長を務める雑誌「ファイナンシャル・ジャパン」の宣伝文章が掲載されているのです。彼がビジネスに力を入れていることは理解しますが、だからといって代替可能なコンテンツとは思われなかった。個人的には日本投資銀行の経営をめぐるゴタゴタですっかり彼個人への興味を失ったところでしたが、ちょっと後味の悪い改訂だったかな。

まあそれを差し引いたところで本書の本質的な価値が変わるわけではありません。今市場に出回っている本の中で、まず読むべき本5冊の中には間違いなく入るものだと思います。個人投資家になろうとしている人の中で、まさかまだ読んだことがない方はいらっしゃらないでしょうね?

とにもかくにも、再発を祝して。
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